2011-05-27

フリクション/1997記事:ROCK is LOFT ~HISTORY OF LOFT~ 1997年7月20日発行

Reck FRICTION
■ ROCK is LOFT ~HISTORY OF LOFT~ 1997年7月20日発行(レックの寄稿文を掲載)

LOFTは20年以上前からあった様な気がするんですが…。とにもかくにも20年生き抜いて来て、お目 出とうございます。オレは(記憶では)'76~'77年頃、新宿LOFTにBANDのTAPEを持って行って聴いてもらって、ダメと言われて出してもらえ なかったという…。「オレたちはまだヘタなのかなぁ?」と自分で考えた思い出がありますね(これはFRICTIONをつくる前)。しかし、そのすぐ後に" リゾート"というBAND(このバンドは2、3回LIVEを演ってなくなってしまいましたが、山口冨士夫chanとルイズ・ルイス加部くん2人がギターで プラスBASSとDRUMというBANDで)を仕掛けた人が知り合いだったので、この"リゾート"が新宿LOFTに出演する時に一緒に出させてもらったの がLOFT初出演だったと思います。こん時は、自分のBANDは"3/3"という名前で、オリジナル曲の他にこの時のステージではBEATLESの「バー ステイ」なんかを演って失敗したのを覚えてますね。で、その後、しょっ中LOFTで演る様になったのはやっぱり"FRICTION"つくってからで、 '78~'79年ぐらいがたくさん新宿LOFTで演りましたね。下北沢LOFTでも数回演ったと思います。下北沢LOFTのある日のLIVEでは、一緒に 演っていたギタリストの松chan(ツネマツマサトシ)が、どういう訳か最前列にいた客(男)のアタマを蹴飛ばしちゃって(それもとんがった皮靴で)、そ のお客さんが"イテェーッ"という顔をしながらも、ちょっと嬉しそうだったのをワタシは今でもハッキリと覚えてます(演奏中でもそういうのは見てるもんで す)。そのお客さんは、何も別にヤジをとばしてた訳でもないので、実のところ松chanがいきなりそいつのアタマを"ゴンッ"と蹴飛ばした時には、オレも ビックリしたんですけどネ。きっと松chanにしか分からない理由があったんでしょうね。

新宿LOFTは何回も演ったので…。SONYから出た『東京ロッカーズ』も新宿LOFTで録ったし(この日は昼の部と夜の部の2回演りましたね)。新宿 LOFTの方の思い出としてはですね、けっこう色々あるんですが、FRICTIONが演奏中にドラムの"ヒゲ"のモニタースピーカーが彼の左手のすぐ脇に あったのですが、ちゃんと固定してなかったのか何なのか、振動で乗せてあった台から落ちて来てヒゲの腰を直撃し、さすがのヒゲもウーッと唸って、叩くの STOPして立ち上がってしまいましたね。あん時のヒゲの痛そうな苦しそうな顔も良く覚えてますね(あんな顔を見たのは27年間付き合ってきて、あの時た だ1度だけなので)。確かそれでオレが、マイクで「タンマだタンマ、事故だ事故!」とか言って演奏を一時STOPして、ヒゲの様子を見て。だけど数分後に はすぐ演奏を始めたと思います。(まぁ、良くある事か?)だけど、本当イタそうだった…。だけどオレもその頃は今ほど慈悲深くなかったので、あまり本気で 心配しなかったかもしれん。あと、LOFTは(いわゆる)"楽屋"がなかったのでステージの脇の方から1Fに通じる階段のところが楽屋代わりで。あとその 階段を昇りきったフロアーのところにみんないっつもたむろしてましたね。(この"みんなたむろする"の図が8mmで撮影されていてVIDEOにコピーされ ていたのをこの間、久し振りに見ましたがヤクザの集まりみたいでしたね)そのフロアーはビルに入っている普通の会社の人達もたくさん通るフロアーで、一つ しかないエレベーターの前にそんな連中がたむろしていたので、今思うとさぞ通り辛かったろうと思います。ウ~ン、あとそのフロアーでみんながたむろしてい る時"FOOLS"の良chanが誰かに殴りかかりそうになった時(もう一発は殴っていたかもしれない)、客のアタマを蹴飛ばしたあの"松chan"が、 ものすごーく穏やかに子供をさとす様に「ね、やめな…」と一言、良ちゃんの肩をたたきながら言ったのを覚えてますね…。こん時もちょっとビックリしました ね。(オレはそういうの勝手にやらせとけ、と思ってしまう方なので)松chanがそんなに静かに、気の荒立っている人間に語りかける事の出来る人だとは 思っていなかったので…。おっ松chan、大人だなぁーとか妙に感心してしまいましたね。

それと似た話で、ある日のGIGでLOFTのトイレは確かステージに向って右のわりとステージに近いところにあったと思うんですが、そのトイレは出演者も 客も男も女別でもなくただ一つのトイレだったと記憶してるんですが、バンドとバンドの演奏の合間に、まぁ大抵のバンドマンも客もそのトイレに来るわけで。 ある日、けっこう客が入っていてごったがえしている時に、トイレに誰か入っているにもかかわらず、トイレのドアをぶっ叩いたり、蹴飛ばして「とっとと出 ろ~!」と怒鳴っているランボー者がいまして、(それは演奏者ではなくて客でしたが)おっまた変にカンチガイしているバカがいるぞ、とか思っていたら、そ こでスーッと"リザード"のモモヨが静かな口調で「人が入っているんだから、ちょっとぐらい待てよ」と一言そいつに向って言ったわけですよ。オレはこの時 もちょっとオドロキましたね。「おっ、モモヨもちゃんとオトナだなー」と感動しましたね。(こう思い出して見ると、オレという人間はけっこうその頃は冷た いヤツだったのが分かってきましたね)で、その言われたヤツの一言を良く憶えてるんですが、そいつはモモヨに向って(もちろんそいつは相手がリザードのモ モヨだという事を知っている)「おーあんたまともなんじゃねぇーか。全然パンクじゃねぇーじゃねぇか」(!?)と、訳のわからん事を言い出しまして、言わ れたモモヨもそれを聞いていたオレも????で、何じゃそれは!でモモヨもあまり(?)な言葉に返す言葉が一瞬出てこなかった、という事件も憶えてます ねー。その時はその後どうなったかは良く覚えてないんですが、殴り合いにはならなかったですね~。そのトイレの男は結局ランボーに振る舞うことがパンクだ と思っていた訳で(あまりと言えばあんまりで、カワイイと言えばカワイイですが。何かそういう時代だったんですねー。20年前ですねー)。そのトイレ男が そのまま大人になっていない事を祈るばかりですね。

イベント的なものでは'79年の終わり頃にやった"ドライブTO 80'S"という、数日間のGIGは楽しかったです。毎日4バンドづつぐらい出て、LOFTの外でもパフォーマンスが毎日行われて、LIVEが終わって も、みんなパッとすぐには帰らずに店の前にたむろしてて、けっこうみんな本当に楽しそうで(まぁ、考えたら20年前は今みたいに娯楽ないもんね。 VIDEOだってないもんね)演る方も演るのが楽しくて仕方がなくて、観に来る方もBANDを観に来るというのと、その"場"に参加するというのが大きな 喜びになっていた時だったと思いますね(それはいつでもそうなのか知れませんが)。当時はそういう場所に来る人々は、今から比べたらほんの一握りの数の人 達だったんですね。その分密度が濃かったのかもしれません。

あっという間の20年だった気もしますが、人間もお店も生き抜いていくのは結構大変ですからね。良くがんばってますよ。お互いに生き抜きましょう。FRICTIONも来年で20年経っちまいますね。いつか又、LOFTに出させて下さい、と思っています。
音楽はものすご~く良いものなので、良い音楽はジャンルを問わずたくさん紹介していって下さい(と願います)。店を維持するのも大変な事なのでしょうが、どうか『心意気』を忘れずに、行って下さい。

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