2011-05-30

裸のラリーズ:雑誌記事「ローリングストーン・ジャパン」1974年2月号より抜粋

「OZバンドと裸のラリーズに注目!~キャンパス・コンサートから~」

・・・トリを務めた裸のラリーズは、バンドを結成してからもう 5年以上経つという。前に演奏したロスト・アラーフの熱演(??)によって、マイク、アンプなどの調整に手間取り、なかなか始まらない。やっと始まった演 奏は、一言で彼らを言い表すなら、「蒼白い妖艶さ」である。デビッド・ボウイなどのそれとは異なり、場末のストリップ劇場の妖艶さである。さて肝心の音の 方であるが、時折り起こるハウリングによって音のバランスがとても悪く、その上にボーカルの弱さも手伝ってもうひと押し。聴衆を魅了するところまでにはい かなかったようだ。ただ気になるのは、黒メガネに黒っぽいいでたちで単純なコードを繰り返し、ファズをかけ鼓膜をつんざくような音の凄まじさと、シン
プルで思いタイコ、それに聞き取りにくい歌の言葉のそれらは、そのままベルベット・アンダーグラウンドに通じるところがあり、この辺が司会者(?)にサイ ケデリック・バンドと言わしめた所以でもある。好意的に解釈してくると、裸のラリーズも何かしら倦怠感に満ちた雰囲気を醸し出しているように見受けられる から不思議だ。しかし、今の裸のラリーズに不足しているのは、ベルベット・アンダーグラウンドがかつて我々にひしひしと感じさせた、けだるさの中に秘めた 力強さではないだろうか?・・・
(1973年12月15日に千葉大学で行われた「不知火」コンサートに対する評)

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